|
■41:理性と本能の狭間
事の発端は尊さまとの妄想でございます!
私が誠練を書くとワンパターンになるとは分かりつつも、あまりに萌えてしまったのでどうしても書きたくって(笑)
とても生かせているとは言い難い仕上がりになってしまいましたが、尊さまに捧げます!
***
『なんでかしら、誠さんからはね。いつも少しだけ、練ちゃんの香りがするのよ』
それは、ほんの数時間前、誠一が皐月から告げられた言葉だ。
出逢いが出逢いだったからだろうか。皐月は誠一と二人きりの時でも、練の名を口に出すことが時折あった。彼女との逢瀬に、他人の存在を匂わせたりはしないのに。
『そんな難しい顔しないで』
思わず顔をしかめた誠一に、皐月は言った。
『別に、誠さんから本当に練ちゃんの香りがするわけじゃなくってね。どう言ったらいいのかしら。でも、貴方の纏う空気にね、練ちゃんの存在を感じるのよ』
溺れている、とでも言いたいのか。
練という男の存在が、誠一にとっての特別だと。
それが、他人に指摘されるほど明らな変化を伴って、己を変えてしまったとでも言うのだろうか。
持て余す、狂気のような衝動。
練を前にすれば、ただ甘いだけの感情だけではいられない。その思いに翻弄されて、彼の前でだけ、誠一は己の情動を制御することができない。
思い通りにならない練という存在が、誠一の理性を奪っていく。
ぞっとした。
練を手に入れたいと願うこの衝動には、際限がないのだと気付いて。
それは誠一自身を壊していく。練のせいで、自分は変容してしまうのだ。
「何だその目は。言いたいことがあるならちゃんと口で言え。その口は何のためについてんだ。男のもんをしゃぶるためだけか、なあ、練?」
頭の中に、皐月の言葉が蘇る。
アルコールのせいだけではない。今、誠一の理性は音を立てるように崩れていって、押さえつけた練に対するどうしようもない支配欲に、脳内が侵されていた。
「黙ってると状況は悪くなるんだ、分かってんのか」
ただきつく、誠一に向かって視線をぶつけてくる練に、冷静な判断力が失われていく。
ベッドに押し倒されているにも関わらず、練のその瞳は、精一杯の抵抗を現しているようだった。
だから腹が立つ。どうしたって彼は、思い通りにはならないと知らされるからだ。
「泣かせてやろうか?」
答える声はなく、返ってくるのは、やけに挑発的に見える、まるで睨みつけるかのような視線だけ。
「いい度胸だ、練」
その瞬間。
誠一は、自分の中で唯一残っていた自制心さえもが崩壊していく感覚を味わっていた。
「い、やだ……ぁああっ」
俯せに寝かせた練の腰だけを高く上げさせ、その両手を背中にひとまとめで押さえつけて抵抗を奪う。
力ずくで押さえ込まれて痛いと泣いた練は、今では快楽に喘いでいた。
「こんなとこに指突っ込まれて、そんなにいいか、ん?」
中をえぐるようにして強く指の腹で擦り上げると、練からは悲鳴にも似た嬌声が上がる。
「あっ、あっ、だめ…、またっ」
「また達くのか」
「いやだ、そこではもう、いやだ……ぁあ、んっ!」
彼の必死の拒絶を受け入れるはずもなく、更に指を増やして内壁を擦ると、練の内股が痙攣を起こしてびくびくと壊れたように震え出す。
もう何度か、練の身体は快楽に射精し、室内にはねっとりと濃い精液の匂いが満ちていた。
加えて広がるのは、甘い練の体臭。
その香がますます、誠一を酔わせていく。
「いやっ、いく!! い、くから……っ、ああぁぁ……っ!」
大きく練の身体が跳ね上がると同時に、硬くなった性器からは再び熱い粘液が放出され、潜り込ませた後孔の内では、誠一の指がぎゅっと強く締め付けられた。
「ひ……っ!?」
誠一は間髪入れずに、拘束していた練の腕から手を離して細い腰を掴むと、練の媚態に狂った自分自身の性器を、指の代わりにひくつく穴へと一気に埋め込む。
「うああぁぁ……!!」
蕩けるほどに熱く、練のうちにある襞が誠一のものを包み込んでいた。
男をくわえ込むためだけに存在するのではないかと、欲望を深く突き刺しながら誠一は全身に広がる快感に思う。
「ひっ、あ、あ、……っ」
練の身体が、強すぎる感覚に震えていた。もはやそれは、快楽などという生易しいものではないのかもしれない。
制御できないのであろうその痙攣が、触れた腰から、繋がった身体から誠一にも伝わる。
こうしてがっしりと腰を支えていなければ、すぐにでも練は崩れ落ちてしまうことだろう。
無論、だからと言って解放してやる気など誠一には少しもない。
「やぁあ……っ、まだ、いっ…と……っ」
「なんだって? いいんだろう、練?」
「やっ、く、くるし……っ、あっ、あぁ!!」
練の瞳から、大粒の涙が流れていた。
拘束から逃れた手が、縋り付くようにシーツを掴んでいる。腰を引いてから強く性器を最奥まで打ち付けると、その手はシーツを掻きむしるように暴れはじめた。
休む暇など与えずに、誠一は何度も繰り返し腰を使う。その度に、耐え難い快感が誠一の身体に走った。
「いっ、いややぁあ……っ!! いく、もう、いっとるから、あかん……っ」
いつしか泣きじゃくる練の声は、まるで子供のように拙く変化していた。それは、誠一の知らぬ、彼の遠い故郷の言葉。
誠一が嫌う言葉だ。
もう何度も直せと命じたのに、無意識下ではまだその訛った言葉が口をつく。メッキが剥がれるように、こんな時には尚更だ。正常な意識などは、もう飛んでいるのだから。
「その田舎くさい言葉は使うなと、まだお前は覚えられねえのか」
「やっ、も……いけへん、から…ぁあああっ!!」
「使うなって言ってんだ」
言うことを聞かない練に腹が立って、誠一は注挿を繰り返しながら、練の性器をぎゅっと握った。
暗く、サディスティックな衝動は尽きることなく、練の身体を責め続ける。
しかしなおも、壊れてしまったように練の口からは、不快な言葉が止まることはなかった。そのひどく幼い口調に、苛立ちが増していく。
「もういい。言うことが聞けねえなら、少し黙ってろ」
「ひゃっ……!!」
身体を繋げたまま、無理矢理練を仰向けに寝かし直し、深く腰を突くと同時に練の口唇を奪う。
望む言葉しか欲しくはない。
勝手だと己自身の愚かさを認識しながらも、激情は収まらない。
「ふ、ぅっ……んっ、ん……!」
馬鹿みたいなセックスだと思った。
翻弄されているのは、練ではなくてこちらの方ではないかと思うほどに、年甲斐もない無茶苦茶な情事だ。
だから皐月にも勘付かれる。誠一は練と出逢って、抗うことさえできずに変わってしまうのだ。
「うっ、んん……っ」
噛み付かんばかりの口付けは熱く、暴れる練によって与えられる、舌先や口唇に感じる痛みさえもを凌駕していく。
「はっ、も、やめて……せい、いち……っ」
「――何をだ、こんな喜んでるくせに」
欲望に突き動かされるまま、猛った性器を打ち付ける。
「やぁっ―――!!」
シーツにぴったりと付けていた背中をのけ反らせ、甲高い音を発した練に気付いた時には、もう、練の意識はそこにはなかった。
+++
汗で額に張り付いた練の髪を、そっとかき上げてやる。
あれだけ激しく交わったというのに、意識は妙に冷めていた。多分、酒がすっかり抜けてしまったんだろう。
誠一はぐったりとベッドの上に横たわる練の隣に腰を下ろし、白い、その顔を見つめた。意識を飛ばしたまま、もう朝まで目覚めることはないだろう。
頬をなぞり、吸い付くようになめらかな肌に触れ、眺めているほどに、その綺麗な身体から離れることができなくなっていた。
一体なぜ、自分はこんなにもこの男に溺れていくのか。
どうして、皐月にするように、奈美にするように、上手に愛してやれないのか。
妙に疲れてしまって、誠一は大きく息を吐き出してから、ゆっくりと目を閉じた。
ほどよく柔らかいマットレスに身体を預けると、急速に睡魔が襲ってくる。もう夜も随分と更けていた。
――ねえ、誠さんはね。
暗くなった視界の先で、皐月がこちらに向かって笑いかけている。
黙れと、誠一が言っても、皐月は笑むばかりで口を閉じることはない。いいから聞いてと、誠一の腕に甘えるように柔らかな身体を寄せてくる。
――誠さんは、どうしようもなく、練ちゃんを愛しているの。
皐月の声が、誠一の夢の中に響いた。ぐるぐるとその言葉が反芻される。
皐月に向かって、誠一は否定することも、肯定することもできなかった。なぜなら、分かっているのだ。この感情には、抗うことができないのだと。
――あたしよりも、誰よりも、愛してしまったのよ。
繰り返される皐月の言葉は少し、誠一のことを責めているようだった。
***
エッチの途中でわけわかんなくなったら、ついつい近江弁が出ちゃったりするんだよ!!
という、妄想だったんですよね!
再び、近江弁が分からないという罠にかかりましたが…! すみません、ただの関西弁です…。
皐月姉さんを出せて楽しかったなぁ! 2010.6
|